・世界初のパイロテクニック・ペデストリアン・デプロイアブル・ボンネット（花火製造技術を応用した歩行者保護のための展開ボンネット）
・目の瞬きよりも短時間で作動するシステム
・先進的なセンシングシステムにより衝撃の違いを判別
・延べ120人年以上をシステム開発に投入
・重力の50倍の力により約100分の3秒でもちあがるボンネット

車の安全性に対する認識が高まっている時代において、美しく速いスポーツカーのデザインと、最新の歩行者保護テクノロジーがみごとに融合した、世界初のシステムがジャガーAll-New XKに搭載されました。13日、フランクフルト・モーターショーで、先端技術の粋を集めた安全機能「パイロテクニック・ペデストリアン・デプロイアブル・ボンネット･システム(PDBS)」がジャガーのエンジニアチームによって発表されました。

瞬きよりも短時間

歩行者との衝突という不幸な事故の際、New XKに搭載されたデプロイアブル・ボンネットは自動的に数インチだけポップアップすることにより、エンジンとボンネットの間でクッションの役割を果たします。これによって歩行者は、エンジンルーム内の固い部分との接触をできる限り隔離されます。さらに、このシステムが作動するのに必要な時間は、瞬きをする時間の10分の1以下です。

ジャガーはこのデプロイアブル・ボンネット・システムをアクティブセーフティ（予防安全）装備の一環として導入し、新しい欧州安全基準のフェーズ1を最初にクリアする自動車メーカーの1社となります。この新しい基準は、車と歩行者が衝突した際に、歩行者の被る怪我の程度をできるだけ低く抑えることを目的としています。

欧州市場の法律により、すべての新車は様々なアクティブセーフティ(予防安全)とパッシブセーフティ(衝突安全)方策を２段階に分けて導入しなければならず、それによって事故の際でも歩行者が保護されるよう自動車メーカーに義務付けられています。

ジャガーカーズのデザインディレクター、イアン・カラムは次のように述べています。「New XKのコンセプトについて意見を述べ合っていたごく初期の段階で、デプロイアブル・ボンネットのアイディアが初めて検討されました。その時からジャガーのデザインチームは、その実現を目標の１つに決めました。この斬新な機能によって、ボンネット表面の高さも50mmから65mmほど低く抑えることが可能になり、ルーフラインも同じ分だけ低くすることができました。その結果、フラットで流れるようなジャガースポーツカーのプロフィールを、New XKに持たせることができました」

ジャガーのパイロテクニック・ペデストリアン・デプロイアブル・ボンネット・システムは、ジャガーのスポーツカーに求められる流麗なラインを提供する一方で、法律上の基準を満たす革新的なソルーションももたらしました。All-New XKに搭載されたこのアクティブセーフティシステムは、パッシブセーフティシステムの一環として取り付けられた新型バンパーによっても補完されています。クラッシャブルなフォーム状の材料をプラスチックのカバーで覆った新型バンパーは、歩行者が足に怪我するのを防止するようデザインされています。車が歩行者と衝突したか、あるいは他の器物と衝突したかの違いは、フロントバンパーに取り付けられた先進的センシングシステムが判断します。このセンサーが測定する時間は、瞬きをする時間の約10分の1です。

ジャガーのプログラム・ディレクター、フィル・ホジキンソンは次のように述べます。「わが社の製品開発センターが誇る技術開発力を私は非常に重視しています。世界初となるこのような安全システムを提供できるジャガーのエンジニアチームと共に働けることを誇りに思っています。このシステムは、イアン・カラムの唱えるジャガーデザインの真髄を維持することも可能にした訳ですから、その点も非常に嬉しく思っています」

この複雑なシステムの開発には、述べ120人年を投入し、何千ものコンピュータシミュレーションを駆使して広範囲なシナリオを検証するという大規模な研究、ならびにイギリスのコベントリーのウィットリーにあるジャガーのエンジニアリングセンターでの実車テストを経た後に完成しました。歩行者への衝撃に関する研究はバーチャルなツールを用いて行われましたが、これまでの“実世界”での事故を分析することも、開発プロセスにおいて重要な役割を果たしました。

New XKのパイロテクニック・デプロイアブル・ボンネット・システムで特筆すべき点の１つは、18kgの重さがあるボンネットが約100分の3秒で持ち上がるという事実です。そのためには重力のおよそ50倍もの加速度(すなわち50G)が必要でした。

人間以外でも、路上に置かれたパイロンなど様々な障害物との衝突実験もジャガーの開発チームは行いました。通常の運転で遭遇する可能性のある障害物と人間をこのシステムが見分けることができるかどうかを検証するための、非常に重要な実験でした。

ジャガーのパイロテクニック・ペデストリアン・デプロイアブル・ボンネット･システムは、このシステムが最も効果を発揮する走行速度内でのみ作動します。この速度域をはずれるとシステムは自動的にオフの状態になります。また、このシステムは、エアバッグなどその他のパッシブセーフティシステムとは独立して作動します。

XKシリーズのチーフ・プログラム・エンジニア、ラス・バーニーは次のように述べています。「All-New XKに搭載されたパイロテクニック・ペデストリアン・デプロイアブル・ボンネットは、先進的なジャガーのスポーツカーとしてふさわしいもので、まさに業界をリードする安全テクノロジーです。職人が造り上げた美しく贅沢なインテリア、アルミニウムのテクノロジー、そして火花が散るようなダイナミックなパフォーマンスとこのシステムは共存しています」

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システム作動時間は100分の1秒単位で記載されていますが、わかりやすく伝えるためのおおよその時間であることに注意してください。